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うどんと建築 香川旅行

2026.6.23

先日、まとまった休日を利用して、ずっと行きたかった香川県へ旅行に行ってきました!
香川旅行の大きな目的はうどん屋めぐりでしたが、インスタやGoogleマップなどのSNSの方が詳しく書かれていますのでここでは省略させていただき、もう一つの目的であった香川県の名建築も巡ってきたのでご紹介いたします!

香川県庁舎東館(設計:丹下健三)

高松の中心地にある香川県庁舎東館は、「建築界のノーベル賞」と称されるプリツカー賞を日本人として初めて受賞し、「世界のタンゲ」とまで言われた建築家「丹下健三」氏の代表作の一つとして知られています。

香川県庁舎東館は1958年に建築され、無機質なコンクリート造でありながら日本の伝統的な木造建築を思わせる柱やがあらわになっており、水平な床面が重なっている様子は五重塔を彷彿とさせる印象です。

それまでの役所といえば、重々しい門構えで一般市民が入りにくい閉鎖的な建物が普通でした。 しかし、当時の金子正則知事の「県庁は民主主義の学校であるべき」という思想を受け、丹下は1階を壁のない柱だけの空間(ピロティ)にしました。

中央の庭園(広場)からそのまま建物内へと入れる構造は、「市民に開かれたモダンな庁舎」の先駆けとして世界中から絶賛されました。

1階のロビーに足を踏み入れると、そこはさながらデザインミュージアムです。

📝 猪熊弦一郎の壁画: ロビーの壁面を飾る抽象画『和敬清寂』が、コンクリートの空間に温かみを与えています。

📝 剣持勇のスツール: ロビーに置かれた、日本を代表するインテリアデザイナー・剣持勇がデザインした丸い木製スツール(香川県庁舎のために作られたもの)には、今も実際に座ることができます。チョコ菓子のようで可愛いフォルムはぜひ我が家にも一脚欲しくなりました。

建物本体をはじめ、庭のデザインや壁画や家具など県民をはじめたくさんの方へにアートに触れて頂く機会を演出されており、現代でも新鮮に感じるフォトジェニックな空間がとても印象的でした。

屋島展望台「やしまーる」(設計:周防貴之)

高松市内を一望できる屋島の山頂に築かれた展望施設「やしまーる」。 最大の特徴は、屋島の起伏に富んだ地形をそのまま生かし、曲線を描きながら蛇のようにうねるように建てられたガラス張りの回廊構造です。地形に合わせて床の高さも変化するため、中を歩いているだけで、まるで山の中を空中散歩しているかのような不思議な感覚を味わえます。

建物は全面ガラス張りで、屋根を支える柱が細く、極限まで存在感を消しています。
瀬戸内海の青い海と空が建物越しに透けて見え自然の景色を「遮る」のではなく、「引き立てる」ために計算し尽くされた現代建築です。

📝 この「やしまーる」を設計された周防貴之氏は世界的な建築家ユニット「SANAA」(金沢21世紀美術館や直島港ターミナル、豊島美術館など)で実績を積まれた大注目の建築家です。

📝 私が訪れたのは昼の時間帯でしたが、屋島からの夕日は「日本の夕陽百選」に選ばれるほどの絶景、また週末(金、土、祝前日)は夜間21時まで入ることができるので、訪れた時間帯によって様々な美しい景色と建築の雰囲気が感じられると思います。

香川県立東山魁夷せとうち美術館(設計:谷口吉生)

この美術館は瀬戸内海のすぐ目の前、瀬戸大橋の袂に建っています。

建物に近づくとまず目を引くのが、深い緑色の外壁です。これはアメリカ産の「バーモント・グリーン」という天然スレート(石材)を使用しています。
東山魁夷といえば、木々の緑や、静かな「魁夷の青(東山ブルー)」の美しさが特徴ですが、谷口吉生はこの外壁の色を使うことで、「建築そのものが東山魁夷の絵画をオマージュする」ような一体感を生み出しています

入口へのアプローチでは、2枚の大きな壁が視界を遮り、あえて海が見えないように設計されています。

📝 ラウンジ(カフェ):作品の鑑賞を終えた先にあるこのラウンジは瀬戸内海に面して大きなガラス窓になっており、まるで「瀬戸内海という名の巨大な一幅の絵」を鑑賞するスペースとなっています。この最後のカフェに至るまで海の傍にいながら海を隠されていましたがここにたどり着いた瞬間の開放感と美しさは鳥肌ものです。

📝 瀬戸大橋の逸話:瀬戸大橋を建設するにあたって検討委員会の委員の一人として東山魁夷、ご自身のルーツである瀬戸内のこの地にあのような巨大な工作物はできればつくらないでほしいと考えておられたようです。でも世紀の大事業ということでできてしまう。それならばせめて瀬戸内の島や海、空といった環境に溶け込むようにと、ライトグレーの色を提案しこの瀬戸大橋が採用されて現在使用されているそうです。

旧善通寺偕行社

香川県善通寺市にある「旧善通寺偕行社」は、これまでに紹介したモダン建築やアート建築とはガラリと趣が異なる、気品あふれる明治の洋風建築(重要文化財)です。

「偕行社(かいこうしゃ)」とは、明治時代に創設された陸軍将校の親睦・互助組織のこと。ここ善通寺偕行社は、1903(明治36)年に陸軍第11師団の結成に伴い、将校たちの集会場や社交場として建てられました。
明治の華やかな軍隊文化や、当時の社交界の雰囲気を今に伝える貴重な遺構です。

📝 和洋折衷デザイン 屋根には日本の伝統的な「瓦(寄棟造り)」が葺かれていますが、窓まわりの装飾や柱の上下には彫刻が施されており、当時の陸軍の威厳や、社交場としての華やかさを視覚的に演出するデザインが最大の特徴です。正面にあるクラシカルな「車寄せ(玄関の庇構造)」には、当時の陸軍のシンボルであった「星章(五芒星)」が刻まれています。

📝 職人の技: 当時の日本の大工たちが、見よう見まねで西洋建築に挑んだ「擬洋風建築」の要素もあり、どこか温かみのあるレトロなディテールが随所に散りばめられています。

明治の気品あふれる洋風建築から、戦後日本の熱気を感じるモダニズム、そして現代の最先端建築まで。香川県は、まさに「日本の建築史」がコンパクトに凝縮された贅沢な場所です。

今回の旅行では訪れることができなかったアートで有名な直島をはじめ香川の名建築はまだまだございます、美味しい讃岐うどんや美しい海の景色とセットで出会える旅先は、日本中探してもそうありません。

ぜひこの記事を参考に、あなただけの「香川旅行」の計画を立ててみてください。

以上 設計部 二村でした。

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